インハウスのデザイナーが作業人にならないために…

インハウスのデザイナーとして制作会社などから転職する理由の一つが、自分たちの作ったサイトを育てていきたい、売上に貢献しているのかをこの目で確かめて、かつ改善していきたいというのがあります。

かくいう私もその一人でもありましたが、理由の一つと言っているものの、ほとんどと言っていいかもしれません。そんな夢と希望を持って入社して見ていざ働き始めたら…。

「お疲れ様です。どこどこのページ記載の内容が古くなっているので、以下の内容に差し替えてもらえますか?—中略—お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。」

とか

「おつかれさまです。急ですが、ほにゃららを緊急でリリースすることになりまして、ページの追加とお知らせの展開をお願いします。急で申し訳ありません。」

まぁ、こういうことは、良くある話だったりします。そこで、「こんなの嫌じゃー」と卓袱台ならぬ机やらMacやらをひっくり返すのは当然社会人としてあるべき姿ではありません(笑)。自分たちがお客さまと会社との橋渡しを行っているという意識がそこにあれば、その橋渡しのために情報展開の手助けはきっちりとやらなければならないし、それが仕事の一つでもあるわけなのです。したがって、うわー!となることは無いにしても、やはりこうした日々の業務は普通に起こるし、その結果、思っていたことができないと思われてしまうことがあったりします。

でも、ちょっと待って欲しいと思うのです。なにも、新しいサービスやサービスリニューアルなどをてがけ、それを世に解き放つのが仕事ではないのです。インハウスのデザイナーにとって大事なのは、自分たちは会社が抱えている問題、実態はコミュニケーション、その問題を解決してあげることが本来やるべきことなのです。そして、自分たちが行おうとしている業務は、どう言う問題から必要とされているのかを常に考えておくことなのだと思います。

例えば、新規リリースやプロダクトのリニューアル。社内のプロジェクトオーナーになる立場の人たちは、そのサービスや商品を「売りたい」と思っています。しかしながら、その目線はあくまでも自分たちつまり、会社目線でのことです。したがって、あれやりたい、これやりたいという、やりたいことが中心に有り、そのサービスや商品を誰にどう売りたいのかという部分が抜け落ちがちです。いや、実際にはそこはあるのですが、彼らの中にはそれが前提にあった上で、あれやりたい、これやりたいがあるけれども、プロジェクトのヒアリングの際には、その前提となる部分が抜けてしまうことが多くあるのです。それはたいてい時間軸からのリリースの問題があるのにあわせて、やはり社内デザイナーが単なる作り手という意識がそこにあるからなのです。

でも、そうした意識をもたれているのは致し方ないと思っています。コミュニケーションをデザインすると言われてもピンと来ないですし、問題をデザインで解決するなんていわれてもピンと来ません。要は、そのサービスや商品の価値をどうやってお客さまに伝えるのかを考え、それを形にするということなのですよね。

これは、プロジェクトオーナーとの間に担当スタッフが居る場合のほとんどが、当てはまります。やりたいことを前面に押し出してくることは。なので、社内のデザイナーは、やりたいことはわかるという理解を示して上で、あらてめてこのプロジェクトは何のために行うのか?そのサービスの戦略はどうなっているのか?をきちっと聞き出す必要があるのです。

実は、そうしたファーストコンタクトこそが、後の制作で巻戻らないための大切なプロセスでもあるのです。販売戦略無くしてコミュニケーション戦略はあり得ません。販売戦略からコミュニケーション戦略に落とし込むことで、どういう表現が良いのかがみえてきます。ここがごっそり抜けていると、ほとんど必ずと言って良いほど、(みんなの大嫌いな)差し戻しが起こります。巻戻りが起こるその大半は、戦略が抜け落ちていると言って良いと思います。これは、外部に委託をした際に肌で感じました。こちらからお願いしたいことがあくまでもやりたいこと、やっていただきたいことばかり提示して、戦略部分を伝え切れていなかったのです。なので、「んー、なんか違うような…」ということが起こるのです。

ことあるごとに、うちの部では、作業人になっちゃダメ、今やっている仕事の意味は何なのかを考えることと言っています。言われた通りのことをやっても、結果は絶対に出ないからです。結果とは、ズバリ売上。うちでいえば契約だし、売れること。その結果を出すためには、プロジェクトオーナーのやりたいことを実現するのでは無く、やりたいことを一緒に考えて、形にすることなのですと。そこにズレがあれば、アウトプットは必ずズレます。そして修正という形で自分たちに返ってきます。だからこそ、プロジェクトが何のために存在し、自分たちがやるべき事は何なのかを考えていく必要があるのです。

プロジェクトオーナーが同じ会社の中の人だからこそ、いつでもコミュニケーションが取れる状態であるのだから、そこを活用しなければ絶対にダメなんですよね。これは、制作会社にいたときとは最も大きな違いでもありました。クライアントとの打ち合わせに時間を取るということは大切ですが、当然行き来の時間も稼働と見なせば、それが増えれば増えるほどコストになります。中の人も当然打ち合わせの時間はコストという考えもありますが、ちょっと歩けばいつでも話せる場にいるのであれば、それを有効活用するべきなのです。

インハウスのデザイナーが作業人にならないためには、そうした心構えが何よりも大切なのです。



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